カニカマリア:宇宙練り物回帰譚 〜偽りの蟹が世界を救う〜 (4)
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AIツール:その他
モデル:HiDream-I1-Fast
第4話:すべてのカニカマが星になる🌠🦀
──宇宙(そら)が、赤い。
練り物工場は既にこの現実世界から“抜けて”いた。
ここは《ネリスフィア》。練り物帝国によって創造された高次元干渉空間。
ちくわとさつま揚げの浮島が漂い、空には巨大なフィッシュケーキ衛星が周回している。
ナルトウズメはその中心に浮かび、
螺旋の練術をぶつけてくる。
「終わりにしよう。
カニカマはただの模倣、偽物の蟹。
本物の力を知らぬ者が、宇宙を語るなッ」
「……それは違いますわ、ナルトウズメ様……」
カニカマリアの瞳は、静かに燃えていた。
カニカマの赤と、カニカマの白。
すべてを融合した、調和の光が彼女の身体から立ち上っていた。
「偽物だからこそ、生きてこれたのです。
本物である必要なんて、ありません……
美味しければ、それがすべてですわ!!!」
✨🍢✨
練術――最終形態。
カニカマリアの身体から浮かび上がったのは、“原初の練り物”の意志。
太古、まだ星々が固まる前。
宇宙の初期スープの中に漂っていた、最初の“おでん種”。
それは練り物そのものが持つ“共鳴”の記憶。
それを呼び起こしたのが、彼女の感情だった。
「私は――地球のコンビニで出会ったカニカマから、たくさんのことを学びました」
──温もり。
──ぬるさ。
──賞味期限。
──そして、消えてもまた作れるという奇跡。
「カニカマは、再生の象徴です。
貴女が破壊しようとしているものは、再び人々を繋げる“味”なのです!」
ナルトウズメの目が揺れる。
「何を……言って……?」
「つまり、カニカマという存在は……
宇宙における“仮初の愛”の象徴。
失われたものを模してでも、人は何かを食べることで前を向く……
それを否定するならば……わたくしは、あなたを全力で断ち切りますわ!!」
彼女の髪が空に伸び、赤と白の光を放つ。
周囲の空間が練り物で塗りつぶされていく。
「練術超終式――
《全練一如・カマノホシハミナナカルベシ(The Final Kanikamart)》!!!」
宇宙が──裂けた。
練り物の粒子があらゆる次元に浸透し、ナルトウズメを取り込んでいく。
「私……カニカマに、負けたの……?」
「いいえ……カニカマに“赦された”のです」
そして、静寂。
ナルトウズメの身体はただのナルトに戻り、くるくると落ちていった。
彼女の表情は、どこか……満足げだった。
🌠🌠🌠
──練り物工場は、元に戻った。
社長は、仰向けで寝転がっていた。
「お、おれ……夢見てたか……?
巨大ちくわ衛星に、宇宙おでん……」
「夢ではありませんわ、社長。すべて、カニカマです」
マリアの言葉に、彼は笑った。
「やっぱ、最高だな、カニカマ」
工場の窓から朝日が差し込み、
彼女の髪を、繊維のように照らした。
「……社長。
わたくし、旅立ちますわ」
「え……」
「カニカマ星へ。
そして、マヨカマス様の意識を“正しく”解放するために。
カニカマを……宇宙のために使う、その使命を……果たすのです」
「……そっか」
社長は、小さなブローチを差し出した。
それは、手作りの、ちょっと歪んだカニカマ型のバッジ。
「お守りだ。気に入らなかったら、食っていいぞ」
「社長……カニカマム……」
マリアの瞳が潤み、赤く染まった。
「ありがとう……ございました」
🍥✨🚀
その夜、工場の屋根から
一筋のカニカマ色の光が、星へと飛んでいった。
あの日から、街のコンビニには、
なぜかカニカマがよく売れるようになった。
──それが、彼女の痕跡だった。
そして宇宙のどこかで、
今も誰かが、カニカマを齧りながら、笑っている。
🦀🌌🍢
《完》