はじめまして、私は美咲（みさき）。私、こう見えて情熱的なタイプなんだ。周りからはそうは思われないみたいだけど。落ち着いた表情をしているけど、その奥にはいろんな感情が渦巻いている。今日はその感情の一部を、あなたに少しだけ話してみるわ。 普段は、こうしてオフショルダーのセーターを着るのが好き。肌触りが柔らかくて、白いニットが私を包み込んでくれる感覚が心地いいんだ。黒のプリーツスカートは軽くて、動きやすいからよく着てるの。シンプルだけど、私の大好きなファッションスタイル。黒いチョーカーをアクセントにして、少し個性的に見せるのが気に入ってる。髪はいつもストレートで、少しだけ風になびくように仕上げているのが私のこだわり。顔立ちは穏やかだけど、目元に強さを宿してる。それが、私の内に秘めたものを表しているのかもしれない。 この先、少しだけ驚くかもしれないけど、聞いてくれるかな。 --- 最近、私の周りで少しずつ奇妙なことが起き始めた。初めは些細なことだった。部屋に戻ると、ドアが微かに開いていることに気づく。部屋の中は無造作に見えるけど、何かが動かされたような気配。それでも、きっと気のせいだと自分に言い聞かせた。私は強い女性だから、怖がってはいけないと自分に言い聞かせる。 けれども、次第にそれはエスカレートしていった。夜、ベッドに横たわりながら、誰かが私をじっと見つめているような感覚に襲われるの。部屋の中は静かだけど、どこかに隠れている誰かの気配が、肌を通じて感じられる。微かな風の音にすら敏感になってしまう。セーターの柔らかな感触に包まれながらも、体中が緊張で固くなっているのが自分でも分かる。 ある夜、ついにその気配の正体が姿を現した。窓際に立つ影、そして、私の名前を囁く低い声。「美咲…」。私は思わず声を出しそうになったけど、必死に口を塞いだ。誰かが私を監視している…いや、それ以上の目的があることに気づいた。何かを知っている、私の過去の何かを。けれど、それが何なのかは思い出せない。私の頭の中には、断片的な記憶が浮かび上がってきて、真実を告げようとしているのに、まるで霧の中を彷徨っているように掴めない。 次の日、私は街へ出かけた。少しでも気を紛らわせたかったから。秋の風が髪を撫で、街路樹の色づいた葉が舞い落ちる音が耳に心地よく響く。カフェの窓際に座り、温かいコーヒーを手に取ったその瞬間、視線を感じた。また…？そう思った瞬間、背筋が凍りついた。振り返ると、カフェの入り口に一人の男が立っていた。その目は私を真っ直ぐに見つめている。見知らぬ顔…けれど、どこかで見たことがある気がする。 私はコーヒーを一口飲みながら、自然を装って彼から視線を外す。だけど、その後もずっと、彼の気配が背後に感じられていた。店を出た後も、彼は私を追ってきた。足音が一つ、二つ…その音が私の心臓の鼓動と重なり、どんどん速くなっていく。路地裏に入り、振り返ると、男はもうそこにいなかった。 私は一瞬ほっとしたけれど、すぐに別の疑問が湧き上がる。この奇妙な出来事は、私の過去と何か関係があるのだろうか？私がまだ知らない、あるいは忘れてしまった何か。胸の奥に隠された、消し去れない記憶。過去の自分が何をしたのか、そしてその影がなぜ今私を追い続けるのか。 結局、その日も答えは見つからなかった。ただ、一つだけ分かったことがある。私は今、誰かに狙われている。そして、その理由を知るためには、過去に戻らなければならない。それが恐ろしいことであっても。