都会の喧騒が染み付いた夜。 残業続きの私の体は、デスクワークの疲れを纏ったまま、いつもの帰り道を重たく歩いていた。 「はぁ...また今日も運動できなかったな。」 鏡を見るたびに気になる腹回りと、なんとなくむくんだ足。でも疲れているし、明日からにしよう...そんな言い訳を繰り返す日々。 私、山下美咲。28歳。某IT企業で働くOL。 昔から運動音痴で、体育の授業が大の苦手だった。でも最近は健康診断の数値が気になりだして...。 「このままじゃマズイって分かってるのに...」 ふと顔を上げると、夜の公園が目に入った。普段なら素通りする場所だけど、今日は何か惹かれるように足が向く。 満月の光が木々の間から漏れ、銀色の光跡を地面に描いていた。 「あれ...？」 光の粒が、まるで意思を持っているかのように、ふわふわと宙を舞う。 近づいてみると...それは...妖精...？ 「こんばんは、美咲さん」 小さな翼を持つ、人間の手のひらサイズの存在が、柔らかな光を放ちながら微笑んでいた。 「え...えぇ！？私の名前を...？」 「私はエアリス。あなたの健康を取り戻すお手伝いをする妖精よ」 その声は、風鈴のように清らかで、どこか懐かしい響きを持っていた。 「健康...を？」 「そう。でもね、条件があるの。毎日欠かさず一緒にトレーニングすること。そして...」 エアリスは一瞬黙り、真剣な表情で続けた。 「自分自身を信じること」 私は思わず吹き出しそうになった。妖精？トレーニング？これって夢？でも...この温かな光は確かに実在する。 「信じられない話だけど...私でも変われるの？」 エアリスはクスッと笑って、私の鼻先に光の粉を振りかけた。 「それは、明日から始まるあなたの物語次第よ」 その瞬間、体が不思議と軽くなった気がした。まるで重力から解放されたように... こうして私の、妖精と過ごす不思議なフィットネスライフが始まった。 　＊ 朝日が昇る前、まだ街が眠りについている時間。 「美咲さん、今日も素敵な朝ね！」 エアリスの声で目を覚ます。最初は辛かった早起きも、今では少し楽しみになってきた。 「うーん...おはよう、エアリス」 一ヶ月前から始まった私たちの朝活。最初は5分も走れなかったのに、今では15分は余裕になってきた。 「昨日より、少しだけ背筋が伸びてきたわよ」 エアリスは私の周りを飛び回りながら、キラキラとした光の粉を振りまく。不思議と体が軽くなる魔法だ。 「でも...本当にこれで変われるのかな」 鏡を見ると、まだあまり変化は感じられない。むしろ筋肉痛で動くのが辛い日もある。 「変化は目に見えないところから始まるの。ほら、階段を使うようになったでしょう？」 確かに。エレベーターを使わず、少しずつだけど、階段で3階まで上がれるようになっていた。 「それに、お昼も少しずつ変わってきたわね」 コンビニのお弁当から、手作りのサラダを持参するように。小さな変化の積み重ねが、確実に私の日常を変えていた。 ある日、仕事中にトラブルが発生。 「山下さん、このプロジェクト、全部やり直しです」 上司の一言で、全ての疲れが一気に押し寄せてきた。 「無理...もう全部無理...」 その夜、公園のベンチで泣きじゃくる私にエアリスが寄り添う。 「辛いときは、辛いって言っていいのよ」 妖精の温かな光が、私の涙を優しく包み込む。 「でも、ね。美咲さんは一ヶ月前の自分より、ずっと強くなっている」 「そんな...全然変われてない...」 「違うわ。毎日コツコツ続けてきた証が、あなたの中に眠っているの」 エアリスが手をかざすと、私の胸の中から小さな光が浮かび上がった。 「これは...？」 「あなたが毎日積み重ねてきた努力の光よ。一歩一歩、確実に前に進んでいるの」 その光は、まるで私の心の鼓動のように、静かに、でも力強く脈打っていた。 「明日から...また頑張ってみる」 初めて、自分の言葉を本気で信じられた夜だった。 翌日、会社でプロジェクトの修正案を提案。以前なら絶対に避けていた上司との直接対話に、震える手で資料を差し出す。 「なかなかいいじゃないですか、山下さん」 小さな成功の喜びが、体の中を駆け巡った。 「ほら、心と体は繋がっているのよ」 エアリスの言葉に、少しずつだけど、私は頷けるようになっていた。 （つづく） 文字数に制限があるため、続きは私のブログ「MochiMermaid’s AI Art Adventures」をご覧ください。気に入っていただけたらハートマークをタップお願いします！