「はい、イサキ特殊害獣対策センターです。害獣駆除のご相談ですか？」 　クマ退治の依頼が来ました。体格によってはライフル弾でさえ効きづらい、厄介な相手です。 　多人数で山刈りが成功確率も高いのですが人手不足ゆえそうもいきません。 　最悪逃げることも考えて軽装＋重装備で人員を投入しましょうか…… 　基本的にクマに勝てるなんて思わないほうがいい。 　奴らは銃弾の5・6発なんて平気で無視するし、致命傷を与えても数時間は動き回ってこちらを道連れにしてくる。 　執着心がすごいから被害者の遺留品を持ち帰ったりしようものなら地獄の果てまで追いかけ回される。 　殺るか殺られるか、まさにDead or Aliveである。 「チェーンガンに催涙弾に……森の中って取り回しの悪い銃器は怖いんだよなぁ……」 　木の幹にあたって射線を向けられなければそれでジ・エンドである。 　なるべく開けた道を選び、竹林を慎重に進むこと数時間。 　前方の竹藪が不自然に揺れるあたりをそっと覗くと、そこには―― 「クマ……まぁ、熊猫、かぁ……」 　ボールを投げると取ってきてまた投げてくれ、と催促される。 　まぁいいんだけど、ここまで必死に背負ってきた重火器類は一体。 　クマはクマでもパンダ相手にあまりにも大人げない。 「グゥーン、ギャウッ」 　しかし異様に人懐っこいなこいつら。野生どこ行った？ 　報告入れたから、じきに野生動物保護センターの職員が捕獲しにくるはず。 　それまではまぁ、遊び相手になってやるかな。