[ (1) のつづき ] 双子座王国の宮殿──それは射手座王国のものとはまるで異なる造りだった。 射手座の宮殿は広々とした回廊と吹き抜け、風が自由に駆け抜ける設計🌬️🏰 だが、ここは違う。 左右対称に並ぶ白と黒の大理石の柱、光と影が交錯するような造り。どこを見ても、二面性を持つデザインが施されている⚖️ まるで、この国そのもののようだ。 「あなたの国は、二つの顔を持つと聞いていましたが……なるほど。建物までそうなのですね」 私の言葉に、アルゴ王子は軽く肩をすくめた。 「双子座は、矛盾の国ですからね。真実と虚構、光と影、慈悲と残酷……あなたが見ているのは、どちらでしょう？」 「それは、あなたが見せたい方なのでは？」 私がそう返すと、アルゴは声を上げて笑った😂 「本当に、ただの政略結婚の花嫁ではないですね！」 その瞬間、宮殿の奥から軽やかな足音が響いた👣 「アルゴ兄上、やけに楽しそうですね？」 現れたのは、もう一人の青年だった。 金色の髪、アルゴよりも幾分小柄な体躯、そして──同じ顔。 「……！」 私は思わず息を飲んだ😳 アルゴが「二つの顔を持つ」と言われる理由、それは単なる性格の問題ではなかった。 この国の王子は双子だったのだ👥✨ 「紹介しましょう。こちらは私の弟、アストレイア。私と違って、彼は礼儀正しいのでご安心を」 アルゴが皮肉めいた笑みを浮かべる。 一方のアストレイアは、穏やかに微笑んだ😊 「ようこそ、エレナ王女。兄が無礼を働いていませんか？」 「……まだ判断はつきません」 私は努めて冷静に答えたが、心の中では混乱していた。 まさか双子の王子だったとは……🌀 この国には、まだ私の知らない謎が多すぎる。 しかし、一つだけ確信できることがある。 私は今、危険な運命の渦の中に足を踏み入れたのだ──💫🔥 双子の王子── 私は、この国の策略の一端をようやく理解し始めた。 「双子座王国の王子は二面性を持つ」──それは、ただの比喩ではなかった。アルゴとアストレイア、二人で一つの王子。 「さて、どちらと話すのが心地よいですか？」 アルゴが意地の悪い笑みを浮かべる😏💫 私は視線を巡らせる。 アルゴは影の王子、冷酷な策略家。しかし、アストレイアは光の王子、優雅な微笑みを浮かべる理知的な人物。 「選択を迫られている気分ですね」 「当然です。この国では選択がすべてですから」 アストレイアが穏やかに言う🌿 私は、わずかに唇を噛んだ。 射手座の王女として育てられた私は、目標に向かって真っ直ぐ進むことを教えられてきた🏹🔥 しかし、この国では真実すら二つある。 正しい道を選んだつもりでも、もう片方の道が本当の答えかもしれない──そんな世界。 それでも、私は決めなくてはならない。 「どちらが本当の王ですか？」 私の問いに、アルゴはまた愉快そうに笑い、アストレイアは静かに微笑んだ😊🌙 「さあ、どうでしょう？」 答えになっていない。 双子座王国の本質が、そこにあった。 日が落ちる頃、私は宮殿のバルコニーに出た。 夜風が髪をなびかせる🌙💨 遠くには、街の灯りが瞬いていた✨ 双子座王国の都は、射手座のものとは違う。迷宮のように入り組んだ路地、どこまでも続く運河、屋根の上を行き交う人影── 「夜の街の方が、生き生きしているでしょう？」 背後からアルゴの声がした。 振り向くと、彼は壁にもたれかかりながら、ワインの入ったグラスを揺らしている🍷 「この国では、夜こそが本番です。昼間はただの仮面劇」 彼はグラスを傾け、紫の液体を口に運ぶ。 「あなたの国は、違うのでしょうね」 「ええ。私の国では、太陽こそが真実です☀️🏹」 「なるほど」 アルゴは小さく笑うと、グラスを私の方に差し出した。 「飲みますか？」 「……」 私はグラスを受け取らなかった。 「疑り深いですね」 「当然です。私を誰かに売るつもりかもしれませんから」 「おや、もう少し信用してもらえると思ったのですが」 彼の目が、微かに面白がるように細められる😼 この男は、私を試している。 「あなたを信用するには、まだ材料が足りません」 そう答えると、アルゴは微笑んだ。 「では、材料を増やしましょうか」 [ (3) につづく ]