雨上がりの空に、少女は立っていた。小さな手で、口元を覆う。そして、ゆっくりと息を吐き出すと、そこには見事な虹が架かっていた。 その少女の名前は、七彩（なないろ）。生まれたときから、口から虹を吐き出すことができる特別な力を持っていた。両親は喜びと同時に、戸惑いを隠せないでいた。村の人々も、七彩を気味悪がり、近づこうとしなかった。 七彩は、いつも一人ぼっちだった。友達もいなければ、心を開ける人もいなかった。虹の力を持つことは、孤独を意味していた。 ある日、七彩は村の外へ出ていくことにした。虹の力を隠しながら、他の村へたどり着いた。そこで、七彩は優しい老人に助けられる。老人は、七彩の力を恐れるどころか、その美しさに心を打たれた。 老人は、七彩に虹の力を隠す必要はないと告げる。「君の力は、素晴らしい贈り物だよ。それを隠すなんてもったいない」 老人の言葉に、七彩は初めて自分の力を肯定された気がした。そして、老人の家に住み込み、虹の力を使い、村の人々を笑顔にするようになった。七彩の虹は、人々の心に希望を与え、村は活気を取り戻した。 しかし、幸せな日々は長く続かなかった。ある日、村に疫病が流行し、人々は苦しんでいた。七彩は、自分の力で村を救いたいと思った。 七彩は、村の広場に立ち、深呼吸をした。そして、全身から虹色の光を放ち始めた。その光は、村全体を包み込み、疫病を浄化していった。 村は再び平和を取り戻し、七彩は村の英雄となった。七彩は、自分の力が、誰かのために役立つことを知った。そして、虹の力を使い、世界中の人々を幸せにすることを決意する。 七彩は、村を後にし、虹色の道をたどって、新たな旅へと出発した。彼女の口から吐き出される虹は、これからもどこまでも、どこまでも、続いていく。