「もう、なんでこんな寒い中撮影なんてするの！？凍え死ぬかと思ったわ！」 スタジオの暖房が効きすぎて、まるでサウナ状態だった数時間前とは打って変わって、グラビアアイドルのあかりは、雪が降りしきる屋外セットでブルブルと震えていた。 「だってさ、雪の中での撮影って、聞いただけでもロマンチックじゃん？ほら、白い衣装で雪の中を歩くとかさ、めっちゃ綺麗でしょ？」 マネージャーの言葉が耳にこびりついている。ロマンチック？綺麗？そんなの幻想よ！現実は、ただただ寒いだけ！ 「足が感覚ないんだけど。もう、凍傷になっちゃうかも…」 あかりは、厚手のブーツを履いているにも関わらず、足先が痺れているのが分かる。カメラマンからは、「もっと表情を！」「もっと笑顔を！」と、容赦ない声が飛んでくる。 「笑顔？こんな状況で笑顔なんて無理でしょ！むしろ、こんな顔で撮ってよ！」 そう言いながら、あかりはカメラに向かって、ありえないほどのドヤ顔を見せた。 「あはは、さすがあかりちゃん！その表情、最高だよ！」 カメラマンは、あかりの表情に満足そうだった。 「ふふ、ちょっとくらいは反抗しないとね。」 心の中でそう呟きながら、あかりは再び笑顔を作った。 「でもさ、なんでわざわざ雪の中での撮影なんてするんだろうね？スタジオで雪を降らせた方が良くない？それとも、本物の雪じゃないとダメなの？」 あかりは、マネージャーに向かって尋ねた。 「それはね、あかりちゃんの純粋な魅力を引き出すためなんだよ。雪の白さが、あかりちゃんの美しさを際立たせるでしょ？」 マネージャーは、まるで絵画を見ているかのように、あかりを見つめていた。 「はぁ、そう言われると、ちょっと嬉しいかも。」 あかりは、照れながらそう呟いた。 「でも、やっぱり寒いのは寒いよ！」 そう言いながら、あかりは再び雪合戦を始め、スタッフたちとじゃれ合っていた。