こんにちは、私の名前は鴉（からす）葉月（はづき）、今年で23歳。水の中での生活が長くなりすぎて、陸の記憶はもうおぼろげです。変わっているでしょう？私の名前も珍しいと言われるけれど、それが気に入ってる。ここでは名前なんて意味を持たないけれど、自分を忘れないために大事にしているの。 趣味はね、葉っぱを集めること。水中に舞い降りてくる美しい紅葉たち。彼らは、どこからかやって来て、私の世界を鮮やかに彩ってくれるの。職業は...ちょっと説明が難しいけれど、「水の守り手」とでも言おうか。私はこの湖の奥深くで生き、時々、陸の葉を迎え入れる。 この場所は、静寂と彩りの交差点。水の中だけれど、紅葉の葉が一枚一枚と静かに漂ってくる。私がいつもいる場所は、湖の浅瀬に近い場所で、光が美しく差し込む。上を見上げると、青い水の中に赤や黄色の葉っぱが舞い、まるで空中を漂っているかのよう。 今日は特に多くの葉が舞い降りてきている。私はその葉を手に取り、優しく撫でてみる。紅いドレスが水中で広がり、葉と一体になるように見える。ドレスはこの水の世界でも鮮やかさを失わない、まるで私の存在を象徴するかのような赤。体にぴったりとフィットし、動くたびに水に溶け込んでいくような感覚を与えてくれるの。 私の髪は、淡い金色で、水の中で揺れるたびに光を反射する。髪の中には、一枚の紅葉が絡んでいるけれど、これは私のお気に入り。これが私の「冠」だと思っているの。小さな幸せを水中でも感じられるようにね。 私は今日も同じように水の中で葉っぱたちと戯れる。水中の世界は、秋の光が柔らかく差し込む場所で、葉っぱの影が美しく揺れる。手を伸ばして、その光と影を感じると、何とも言えない心地よさが広がる。 この湖の底は思ったより明るいのよ。透き通った水が太陽の光を通して、まるで天井のない部屋にいるみたい。葉っぱたちは舞い落ち、まるで絵画の中にいるような気分にさせてくれる。湖の奥深くまで続く、青と緑、そして鮮やかな紅葉のコントラストが私を包んでいるの。 水の中では、全てがゆっくりと流れる。音も匂いも、何もかもが鈍く感じる。でも、その鈍さが逆に安心感を与えてくれるの。 この赤いドレスは特別なもの。水の中で着るために作られたものではないけれど、私の体にぴったりで、どこまでも広がる裾がまるで水草みたいに揺れる。肩を少し上げて、葉っぱを手に取り、その感触を楽しんでいると、自然と笑みがこぼれるの。 私の髪はいつもこの形。後ろで無造作にまとめていて、水の流れに合わせて揺れるのが好き。淡い金色の髪に、一枚の紅葉がアクセント。顔には穏やかな微笑みが浮かんでいる。どこか楽しげで、少しだけ物思いにふけっているような感じかな。 日が沈みかけてきた。水の中は一層静かで、紅葉たちも次第に少なくなる。この世界は永遠に変わらないと思っていたけれど、いつか私も葉っぱのように漂い、どこかに行くのかもしれない。だけど、今はこの水中での生活を楽しんでいたい。紅葉の葉が私の手のひらをすり抜け、どこか遠くへと流れていく。