わたしの名はアウレリア、光を司る巫女であり、天空の果てに位置する「聖光の都」で、神々に仕える者です。黄金に輝く光輪と月のようにやわらかい衣がわたしを包み、夜空の帳に揺らめく星々を背に、今日もこの地上へと降り立ちました。わたしの姿は、人々の目にどのように映るのでしょうか。天から授かったこの美しい金色の髪は、光を吸い込み、夜をも照らすほどに輝いています。そして額には、翠の葉を編んだ冠がわたしの決意を象徴するかのごとく据えられています。 わたしの使命は、夜と昼の狭間に広がる曙の光を届け、闇に飲まれそうな人々に希望の灯を灯すこと。蒼く冷たい闇は、決して忌むべきものではありません。光を映すための鏡のように、闇はそこにあるのです。けれども、それが激しすぎるとき、わたしの手でその闇を和らげるのが務めとなります。天空の神殿で神々から授けられた「光の巫女」としてのこの役割は、いつしかわたしの存在そのものとなりました。 この美しい都は、あらゆる光の色が折り重なり、夜明けのような淡い青から、正午のような真白き光までが、わたしの歩む道を照らしてくれます。わたしの服は、天上の光が結晶となって織り込まれた一種の神衣。青く透明な生地は、冷たさと同時に生命の温もりを含み、身を覆う金の装飾は、まるで天の光を自在に操るかのように見えます。その服装が柔らかく光を反射するたび、周囲の空間が一瞬、永遠のように静まり返るのです。 わたしが長く使い続けたこの冠は、わたしの力の象徴であり、また責務の重みを常に感じさせるものです。ささやかながら神々から預かったこの力を、もっと多くの者のために使いたいと願う心もまた、わたしの中で強まっていきました。それは決して簡単ではありません。闇が強大すぎる時、わたしが光を放てば放つほど、逆に闇はその影を濃くし、わたし自身の輝きを削ぎ落としていくのです。しかし、わたしには放棄するという選択肢はありません。たとえこの身が消え去るとしても、闇の中に小さな光を残すことができるのなら、それはわたしの望む結末です。 ある夜のことでした。聖光の都が夜の闇に包まれ、星々が煌めき始めるその時、わたしは神殿の頂に立っていました。風が静かに吹き抜け、わたしの髪をそっと揺らします。耳を澄ますと、遥か遠く、地上からの祈りが微かに聞こえてきます。人々は、わたしの姿を「光の巫女」として祈り求め、闇に飲まれる恐怖からの救いを願っているのです。わたしはその声に応えたくて、ただひたすらに祈りを捧げました。 突然、足元から鋭い冷気が立ち上り、闇の渦がわたしの周りを取り巻きました。まるでわたしの光を奪い去ろうとするかのごとく、その闇はねっとりと絡みついてきます。その冷たさは、骨の髄まで届くようで、わたしの意志をも飲み込んでしまうのではないかとさえ感じました。しかし、わたしは負けるわけにはいきません。深い呼吸をし、光の巫女としての力を胸の内から引き出し、闇に向かって放ちました。 「さあ、わたしの光を、貴方の闇に映し出してご覧なさい」 わたしの言葉と共に、周囲の光がひとつの波となり、闇の中に広がっていきました。光と闇がぶつかり合い、混じり合うその瞬間は、まるで一枚の絵画のような荘厳な美しさに包まれていました。わたしは目を閉じ、ただその力が広がるままに委ねました。冷たさと温かさがせめぎ合う中で、やがて静かな安らぎが訪れ、わたしの身は心地よい光に包まれました。 気づけば、わたしの周囲から闇が消え去り、目の前には青白い光がわずかに残されていました。わたしの力は、すべてを闇に飲まれぬよう、せめて一筋の光をここに残すことができたのです。その一筋の光は、今後も闇の中で人々を照らし続けるでしょう。そしてそれこそが、わたしの願いであり、わたしの役目だったのです。 振り返ると、空には朝焼けのような光が差し込み、わたしの影が長く伸びていました。新たな朝の到来を告げる光を受けて、わたしはそっと微笑みました。この美しい景色を見守ることができる幸せを、心から噛み締めていました。わたしの役目が終わったその時、再び人々が希望を持ち続けてくれることを願いながら、またこの聖光の都で、神々に祈りを捧げ続けるのです。 「今日もまた、新たな光が生まれるでしょう。わたしはその証人であり、守り手なのです」 そして、わたしは深く息を吸い込み、穏やかな光を纏って、再び天上の神殿へと戻っていきました。