その瞬間、彼女のくしゃみが世界を揺るがした――ただのくしゃみのはずだったのに！私の名前はミサキ。ある日、いつも通りくしゃみをしただけで、目の前に亀裂が入り、そこから小さな青白い妖精が現れたんです。 「やっと出られた！ありがとう！」と、妖精はパタパタと小さな羽を動かして私に近づいてきました。「僕はルッカ。君のくしゃみのおかげでこの世界に出てこられたんだよ」と、目を輝かせて話しています。私は混乱しつつも、事態が信じられず、呆然と彼を見つめました。妖精が実在するなんて、漫画の中だけの話じゃないの？ 「お礼に、君の願い事を叶えてあげるよ！」とルッカは意気込んで言いましたが、私は特に叶えてほしい願いも浮かばず、「じゃあ、せめてくしゃみで部屋を壊さないようにしてほしいかな…」と頼みました。すると、ルッカは「それじゃつまらないね」とニヤリと笑い、「もっと楽しい魔法をかけてあげるよ！」と言って、私の鼻先をチョンと触ったのです。 次の瞬間、くしゃみをするたびに奇妙なものがランダムで召喚されるようになってしまいました。「はっくしゅん！」とやるたびに、巨大なパンケーキが部屋に現れたり、カラフルな風船が舞い上がったり。どうやら私のくしゃみのエネルギーで、異次元から色んなものが呼び出されるようになってしまったらしいのです。 最初は驚きと戸惑いばかりでしたが、次第に「次は何が出てくるんだろう？」とワクワクするようになりました。たとえば、職場でくしゃみをしてしまったとき、突然オフィスに大量の風船が現れて同僚たちが大騒ぎ。私は必死に謝りながらも、内心では笑いをこらえるのに必死でした。 そんなくしゃみ魔法との日々を楽しんでいるうちに、ルッカが再び現れ、「もう満足したから帰るよ」と告げました。「君のおかげで楽しかったよ」とウインクを残して、ルッカは空気のように消えていきました。 ルッカが去った後、私のくしゃみは普通に戻りました。少し寂しい気持ちもありますが、ルッカが教えてくれた「日常の意外性を楽しむ気持ち」は、今も私の心に残っています。たかがくしゃみ、されどくしゃみ。あの日のくしゃみが、私に小さな魔法のような日常の変化をもたらしてくれたのです。