灰色の空が永遠に続いているような気がした。 放射能に汚染された大気は、かつての青空の面影すら残していない。私の名はカエデ。22歳。この死に絶えた世界で、どうにか生きながらえている残存者の一人だ。 核戦争から15年。人類が自らの手で築き上げた文明は、一瞬にして灰燼に帰した。 私の記憶の中で、家族との最後の団らんは、まるで遠い昔の夢のように霞んでいる。7歳の私は、地下シェルターで両親と弟の死を看取った。放射能汚染による緩慢な死。それは私の心に消えることのない傷跡を残した。 そして今、私の体の中で脈打つ不思議なエネルギー。 それは3日前、廃墟と化した東京タワーの地下で見つけた古代の装置から得た力だった。青白い光が私の細胞の一つ一つに染み込んでいく感覚。まるで体の中で星が生まれるような、そんな感覚だった。 朽ち果てたビルの残骸の間を歩きながら、私は手のひらを見つめる。 皮膚の下で青い光が蠢いている。意識を集中させると、指先から放電現象のような光が走る。この力は私に何を求めているのだろう。救世主になれという神の啓示なのか、それとも復讐の手段として与えられた悪魔の契約なのか。 「おい、そこの女！」粗野な声が背後から響く。 振り返ると、錆びついた鉄パイプを手にした三人の男たちが立っていた。略奪者だ。彼らの目は、獲物を見つけた野犬のように血走っている。 私の中で何かが覚醒する。 体の中のエネルギーが激しく脈打ち、まるで生き物のように私の意思に呼応する。復讐か、救済か。その選択が、これからの私の運命を、そしてこの死に絶えた世界の行く末を決定づけることになる。 指先から放たれた青白い光が、闇を切り裂いていく。 これが私の物語の始まり。終末後の世界で、神か悪魔か、それすら定かではない力を手に入れた一人の女の物語。 ＊ 青白い光は、まるで生きているかのように蛇行しながら略奪者たちに向かって走った。 彼らの目が恐怖で見開かれる。光に触れた瞬間、三人の体が宙に浮かび、そして激しく壁に叩きつけられた。私自身、この力の制御がままならない。 「化け物！」一人が叫ぶ。 その言葉が私の心を刺す。確かに、今の私は人間とは言えないのかもしれない。でも、本当の化け物は誰なのだろう。争いを求め続ける人類なのか、それとも超越的な力を手に入れた私なのか。 略奪者たちは這うようにして逃げていく。 その背中を見送りながら、私は両手を見つめた。皮膚の下で蠢くエネルギーは、まるで私の感情に呼応するように脈打っている。恐れ、怒り、そして微かな満足感。これが力というものなのか。 夕暮れの廃墟に、異様な静けさが戻ってきた。 「待ちなさい」 凛とした女性の声が背後から響く。振り返ると、白いローブを纏った女性が立っていた。サクラと名乗るその女性の瞳は、私と同じように青白く光っていた。 「あなたも、"選ばれし者"の一人なのね」 サクラの言葉に、私の中の力が反応する。彼女もまた、私と同じ力を持つ者だった。だが、その使い方を心得ているように見える。 「カエデ、あなたのその力は、古代人が残した"量子グリッド"の一部よ。人類を救うために残された最後の希望なの」 古代人。量子グリッド。聞き慣れない言葉が、私の中で新たな疑問を呼び起こす。 「東の遺跡で、仲間たちがあなたを待っているわ。私たちと共に来てくれないかしら？」 サクラの誘いに、私は躊躇する。信じていいのだろうか。でも、この力の真実を知るためには、彼女について行くしかない。 「案内してください」 その言葉を口にした瞬間、私の体内のエネルギーが大きく波打った。まるで、これから始まる運命の歯車の回転を予感させるかのように。 夕陽が沈む廃墟の街並みを、私たちは東へと歩き始めた。 新たな仲間との出会い。そして、この力の真実。私の旅は、まだ始まったばかりだった。 ＊ 夜の帳が降りる中、廃墟と化した街並みを東へと進んでいく。 サクラの足取りは確かだった。彼女は明らかに、この死の街を知り尽くしているように見える。私たちの周りで、青白いエネルギーが時折、共鳴するように輝きを放つ。 「ここよ」サクラが立ち止まったのは、かつての総合病院だった。 朽ち果てた建物の外壁には、奇妙な幾何学模様が刻まれている。それは古代人の遺した文様なのか、それとも新たに誰かが描いたものなのか。 サクラが手をかざすと、模様が青く発光し始めた。 （つづく） 文字数に制限があるため、続きは私のブログ「MochiMermaid’s AI Art Adventures」をご覧ください。気に入っていただけたらハートマークをタップお願いします！