初めまして、私の名前は橘琴音（たちばなことね）です。年齢は17歳、高校2年生です。髪はピンク色で少しふんわりとした長さがあり、黒いリボンをいつも頭に結んでいます。制服は、白いブラウスに黒のリボンタイ、そして襟と袖に金色の縁取りがついた紺の制服です。この格好、ちょっときれいでしょ？ 少し控えめな私は、あまり目立たないようにしているけれど、ファッションや小物にはこだわりがあって、リボンを巻くのが好きです。少し恥ずかしいけれど、ピンク色の髪も気に入っているんです。 この街の名前は「春風町」。名前の通り、風がとても心地よい場所で、特に春になると街の至る所で桜が咲いて、道が薄いピンク色に染まります。今日はそんな春風町のメインストリートを歩いています。道沿いにはカフェや雑貨店が並んでいて、どこか懐かしくて落ち着く雰囲気があります。空気は少しひんやりしていて、春の匂いがする。澄んだ青空が広がっていて、まるで全てが清々しい新しい始まりを迎えたかのようです。 いつもはこんな感じで一人で静かに過ごすのが好きだけど、今日はちょっと特別な日です。私には友達が少ないから、こうして誰かとおしゃべりをするのは珍しいこと。でも、今日はクラスのあの人…、瀬戸くんと会う約束をしてしまいました。ちょっとだけドキドキしているんです。瀬戸くんは、誰にでも優しくて、少しおおらかな人。それに、彼は音楽が好きで、ギターがとても上手なんです。私みたいな内向的な子が、どうして彼とこんな風に仲良くなれたのか、今でも不思議に思っています。 少し緊張して、頬が熱くなるのがわかります。風が髪を優しく揺らし、リボンがふわっと浮かび上がる。どんな顔をして会えばいいんだろう？彼の前では、いつも心の中がバタバタして落ち着かないけど、不思議と嫌な感じはしません。彼に会うと、まるで春風に包まれているような温かさを感じるんです。 瀬戸くんは私に、最近できたカフェに行こうって誘ってくれました。そのカフェの名前は「ひだまりカフェ」。なんだか聞くだけでほっとする名前ですよね？ちょっと古風で、店内は木の香りが漂っていて、陽の光が窓からやわらかく差し込んでくる、そんな素敵な場所なんです。きっとそこでも、あの人らしい優しい会話をしてくれるんだろうなと思うと、少し安心します。 足音を響かせながら、桜並木の下を歩いていると、ふと心が軽くなるのを感じました。緊張するのも、これも全部新しい季節が私に与えてくれた成長なのかもしれない、そう思ったんです。出会いや別れ、希望と不安が入り混じる春だからこそ、私たちはこうして少しずつ前に進んでいくんだと思います。 カフェの前で、瀬戸くんが待っていました。彼の笑顔を見ると、私の心も自然と明るくなります。何を話そうかなんて考えるのはやめて、ただこの瞬間を楽しむことにしました。ふと、空を見上げると、また一つ、桜の花びらが風に舞い上がりました。季節の変わり目は、何か新しいことが始まる予感で満ちているんです。 「やっと春が来たな」って、彼が小さくつぶやいたその声が、私の心にもそっと届きました。