[ (1) のつづき] 私は息を止めた。 目の前の「それ」は、黒よりも深い闇だった。 宇宙の暗黒よりも暗いものが、この世に存在するなんて🌑 エコーネイド号のセンサーが狂ったように警告音を発する。 📡『重力異常検出。時空の安定性が崩壊中。警戒してください。』 「分かってる……」 手のひらに汗が滲む。指先が冷たい。恐怖という感覚を、今さら思い出した。 裂け目の奥で、何かが蠢いている。 👁️ 見られている。 私は操縦桿を強く握った。逃げるか？いや、違う。私はここへ来た理由を忘れていない。 「アレン、いるの？」 ノイズ混じりの声が、頭の中に直接響いた。 《……イリス……》 ドクン、と心臓が跳ねる。 ——兄さん？！ 声の主を探すように、エコーネイド号のライトを最大出力で照射する。 ⚡ 光が裂け目の奥へと吸い込まれた。 まるで、そこに光を拒む何かがいるみたいに。 背筋が凍る。 AIが警告を発する。 📢『不明存在の波長を確認。認識不能。エコーネイド号の記録に類似データはありません。』 「……そんなの、分かってる」 恐怖が身体を支配しようとする。 でも、それを押し戻す力もある。 「アレン！！いるなら、応えて！！」 沈黙。 そして、次の瞬間—— 💥 エコーネイド号が、引きずられた。 「くそっ！！」 計器が狂い、操縦桿が制御不能になる。重力がねじれ、宇宙艇の構造そのものが歪むのが分かった。 引き込まれる——裂け目の奥へと。 🌀 未知の領域へと。 《……こっちに来るな……》 ノイズ混じりの声が、警告のように響いた。 それは、兄の声だった。 でも—— 「行くよ、兄さん。」 私は、加速した🚀💫 🎶🚀 🌌 落ちる。落ちていく。 重力の感覚が狂う。方向がなくなる。時間が崩壊する。 私は操縦桿を必死に握りしめる。 「エコーネイド号、姿勢制御！！」 ⚠️📉 システム異常発生。空間座標認識エラー。 AIの声が断続的に流れる。 『座標位置の特定が不可能です。ここは……認識外の領域です。』 「そんなの……分かってる！！！」 私は前を睨む。 裂け目の奥——そこには何かがある。 ✨ 光が歪み、折り重なり、消えては再構成される。 時間が壊れた空間。 過去、現在、未来が混ざり合い、存在の境界が揺らいでいる。 私は、そこに見た。 🚢 兄の船——エクスプローラーⅦが、そこに浮かんでいた。 「兄さん……！！」 船体は傷ついているが、確かに存在していた。 だが、違和感がある。 時間が、止まっている。 📡 エコーネイド号のスキャナーが警告を発する。 『異常発見。対象船の時間軸が固定されています。通常の時間流とは同期していません。』 「どういうこと……？」 ⚡ そのとき、視界の隅で何かが動いた。 🚶‍♂️ それは人影だった。 私は息をのむ。 「兄さん……？」 🚨 ノイズが走る。視界が揺れる。存在が歪む。 《……来るな……》 ⚠️ 警告の声。 でも、もう止まれない。 私はエクスプローラーⅦへと向かう。 🚀 エコーネイド号のドッキングシステムを起動する。 「アレン、待ってて……！！！」 そして—— 私は、兄の船のハッチを開いた。 🚪 暗闇の奥から、何かがこちらを見つめていた。 [ (3) につづく ]