私は、夕暮れの中に立っている。オレンジとピンクが混ざり合う美しい空が、まるで私の心の奥底まで温かな光で満たしてくれるように広がっている。柔らかな光が全身を包み込んで、今まで抱えていた悩みや不安が、少しずつ溶けていくようだ。この時間、この瞬間、ここにいることがただひたすら心地よい。 私の名前は「さくら」。自分ではありふれた名前だと思っていたけれど、今日ばかりは少し誇らしい気持ちになっている。だって、この景色の中で私はまるで一輪の花のように、自然の中に溶け込んでいるのだから。お気に入りのワンピースを身にまとい、揺れる花々の中で静かに風を感じている。白地に淡いピンクと青の花柄が散りばめられたこのワンピースは、私の心の中で春を感じさせてくれる特別な服だ。緑のリボンがウエストをしっかりと引き締めてくれて、いつもより少しだけ自信が持てる。 この場所は、私が幼い頃から家族と訪れていた自然公園だ。いつしかここに来ることは減ってしまったけれど、今日はひとりで訪れることに決めた。自然の中にいると、自分がただのちっぽけな存在に思えてくるが、その小ささがなぜか心地よく、安心感をもたらしてくれる。夕暮れに染まる広い空と、それを映す色とりどりの花畑。光が木々の間から差し込み、優しい風が花びらを揺らしていく。この風景は、私の心に触れ、少しずつ何かを変えてくれる気がしてならない。 私はそっと目を閉じてみる。耳に入るのは、風に揺れる木々のささやきと、遠くで鳴く鳥たちの歌声。そして、足元の草が擦れる音が微かに聞こえる。目を閉じていても、心の中に鮮やかな色彩が広がっていくのを感じる。ピンク、オレンジ、紫、そして少しの青。夕日の光に包まれて、すべてが温かく優しい色合いに染まっている。自然の中で、自分がただ「いる」ことの喜びを感じる瞬間だった。 しばらくして、私は目を開ける。目の前に広がる景色は少しだけ変わって見えた。花々が私に語りかけているようで、今まで気づかなかった「生きる力」が溢れ出ているようだった。風に揺れる花の一輪一輪が、まるで私に「大丈夫」と励ましてくれているように感じられる。不安や迷いを抱えていた私に、自然がそっと手を差し伸べてくれているのだろうか。 私はそっと手を伸ばし、目の前に咲く小さな花に触れてみた。柔らかな花びらが指先に伝わり、その瞬間、心の中で何かが静かにほどけていくのを感じる。そうか、私はずっと自分の中に閉じこもっていたのかもしれない。自分自身を見つめることから逃げていたのだ。でも、この花と触れ合い、自然の中で「自分」を感じることで、少しずつ本当の自分を受け入れる勇気が湧いてきた。 気づけば、夕日はさらに地平線に沈みかけていて、空は濃いオレンジと深い紫に染まっていた。私の影が長く伸びて、花畑の中に消えていく。こんな美しい景色を、どうして今まで見過ごしていたのだろう。どうしてこの風や光を感じることを忘れていたのだろうか。ここにいると、悩みや不安がほんの小さなものに思える。私も、この自然の一部であり、そして自然もまた私の一部なのだと、心の底から感じることができた。 夕暮れの風がさらに冷たくなり、私はワンピースの裾を少し引き寄せる。そろそろ帰ろう。だけど、今の私ならきっと大丈夫だ。心の中に「自然」という大きな味方を得たから。花々や風、そして空の色が、私の背中を押してくれるから。 明日からの私もきっと変わるだろう。少しずつでも、自分の気持ちに素直になり、自分らしく生きることができるように。この自然が教えてくれた「癒し」と「発見」を胸に、私の新しい一歩が始まる気がしてならない。 --- この投稿、気に入っていただけたら嬉しいです！ハートマークタップで応援してね！