ジムの鏡に映る自分の姿を見つめながら、私は息を整えました。顔は汗で輝き、頬には軽い赤みが差しています。ポニーテールにまとめた髪の毛は、ところどころ汗でしっとりしていて、動くたびに揺れました。タンクトップは白、そしてスパッツは淡いブルー。どちらも動きやすさ重視の私のお気に入りです。ジムの窓から差し込む光が、汗に濡れた肌をきらきらと輝かせていて、なんだか自分が少しカッコよく見える気がしました。 私の名前は「沙月（さつき）」です。高校二年生。運動部に入ることなく、家でだらだらする生活をしていた私が、こうしてジムに通うようになったのは、親友の恵（めぐみ）の一言がきっかけでした。「ねえ、私たち変わろうよ。なんか、もっと動いて自分を磨きたくない？」そのときは正直「なんでそんな面倒なことを？」と思いましたが、流されやすい性格の私は結局ジムに入会することになったのです。 初めてトレーニングをした日、私は自分の体力のなさに驚きました。ランニングマシンでは5分も走れず、ダンベルを持つ手はすぐに震えました。それでも、ジムのスタッフの一人、穂積（ほづみ）さんが親切にアドバイスをくれて、少しずつトレーニングが楽しくなっていきました。「最初は誰だってこんなものですよ。でも、続けていけば絶対変われます」その言葉が嬉しくて、私も恵も通い続けることを決意しました。 今日は、私たちにとって特別な日です。初めて挑戦する「サーキットトレーニング」の日だからです。ジムの中心に設置された器具を次々に使いながら、短時間で集中して鍛えるトレーニング。汗が滴り落ちるほどハードだと聞いて、少し怖かったけれど、挑戦してみたいという気持ちが勝りました。 「沙月、準備はいい？」隣で笑う恵の声に、私は深く息を吸い込みました。「もちろん！」返事をした瞬間、穂積さんの掛け声でトレーニングがスタートしました。最初はスクワット。ダンベルを持ちながら腰を落とし、上げる。次はバーピー運動で全身を動かし、さらに腹筋器具を使ったトレーニング。私の顔はどんどん熱くなり、息は上がりっぱなし。でも、そのたびに穂積さんの「いいぞ、その調子！」という声が私を奮い立たせました。 そして、最終ステージのプッシュアップバーに挑むとき、私はすでに体が限界近くに来ていました。手が震えて、腕が痛い。目にはうっすら涙が浮かびます。そんな私を見て、隣にいた恵が小声で言いました。「沙月、ここまできたんだよ。あとちょっと、頑張ろう！」その一言で、私はふと肩の力が抜けました。いつもそばにいてくれる親友がいる。それだけで、もう一度動ける気がしたのです。 最後の一押しでプッシュアップを終えた瞬間、全身がぐったりと重くなり、同時に達成感がじわじわと広がりました。穂積さんが笑顔で近づいてきます。「お疲れさま！初めてのサーキットトレーニング、大成功だね。よく頑張った！」その言葉が心にしみて、私は自然と笑顔になりました。 トレーニングの後、ジムの外に出ると夕陽が沈みかけていました。オレンジ色の光が私たちを包み込み、汗に濡れた肌がさらに輝いて見えます。「やっぱり、やってよかったね」と恵が言い、私も頷きました。「うん、こんなに気持ちいいなんて思わなかった」お互いの顔を見て、疲れ果てたはずなのに二人で笑い合いました。 帰り道、私はふと考えました。今までの私なら、こんなキツいことをやり遂げられるとは思えなかった。でも、努力を続ければ、どんな自分にもなれるのかもしれない。そう思うと、次はもっと挑戦してみたいという気持ちが湧き上がってきました。 「沙月、次はもっとすごいトレーニングに挑戦しようよ！」恵が楽しそうに言います。「いいね。私たちならできる気がする！」夕陽の下、二人で走る帰り道は、今日の努力を象徴しているようで、どこか誇らしい気持ちになりました。 ジムでの挑戦はまだまだ続きます。でも、これからも汗を流して、笑い合いながら成長していく。そんな未来が少し楽しみになった私たちは、再び明日へ向かって歩き出しました。 ―――――――― この投稿、気に入っていただけたら嬉しいです！ハートマークタップで応援してね！