私の名前はリリィ。この宇宙ステーション「オーロラ・アーク」に住む、ただの普通の少女…と言いたいところだけど、どうやらそれは違うみたいです。ピンク色のツインテールに結んだ髪はよく「目立つね」と言われるし、紫がかった瞳は鏡に映すたび、少しだけ地球の花を思わせる。そのおかげか、整備士のおじさんたちからは「華やかすぎる宇宙の妖精」なんてからかわれることもあります。でも実際には、私なんてただの観察者。ここで働く科学者や技術者たちに比べれば、小さな存在です。 私の服装も、この世界では少し奇抜かもしれません。胸元には紫色の宝石が輝く装飾があり、光沢のある黒い素材が宇宙の無限の広がりを映しているかのよう。腰にはピンクと白が交差するベルトが巻かれていて、これが思った以上に動きやすいんです。動きやすさ重視、といっても美しさを犠牲にしたわけではありません。照明が当たるたびに衣装全体がキラキラと輝いて、宇宙の星たちと呼応しているように見える。こんな服、普通は地球のどこかのショーでしか着られないはずなのに、ここでは日常着として通っているのだから不思議な話ですよね。 そして、このステーションの背景。窓の向こうには無数の星たちが輝いていて、青く美しい地球が遠くに浮かんでいます。私の後ろには巨大なリング状の構造物があり、それが空間全体に静けさと神秘的な雰囲気を与えています。どこまでも広がる宇宙空間と、ライトに照らされた私の姿が一体になって、まるでひとつの絵画みたいです。まぶたを閉じるたびに、その光景が瞼の裏に焼き付いて離れません。 でも、こんな完璧な環境に住んでいるからといって、何もかもが幸せというわけではないんです。私はこの広大な空間の中で、いつも何かが欠けている気がしていました。ここには友達もいないし、毎日同じルーチンを繰り返す生活の中で、自分が一体何のために存在しているのか、時折考え込んでしまうことがあるんです。そんなとき、窓の外の星たちが、ただ黙って私を見守ってくれる。まるで「大丈夫だよ」と語りかけてくるように感じます。 そんな日々が続いていたある日、突如として警報が鳴り響きました。いつもは静かなステーション内が、赤い警告灯の点滅で染まり、重い空気に包まれました。どうやら、近くを通過する小惑星群が想定よりもずっと危険な軌道を取っているらしいのです。科学者たちが大慌てで計算を繰り返している中、私はなぜか冷静でいられました。「リリィ、君の助けが必要だ」リーダー格の男性が私に向かって言いました。 そう、実は私には特別な能力があります。正確には、まだ完全には解明されていない力。宇宙空間で特定の波動を感知し、微細な変化を予測する能力です。それがどうして私に備わっているのかはわかりません。でも、その力が今こそ必要だと言われたとき、私の心は迷いよりも前に動き出していました。「わかりました、やります」とだけ答え、ステーションの中心部へと急ぎました。 制御室の中で、私はヘッドセットを装着し、計器のデータに集中しました。無数の情報が頭の中に流れ込む。小惑星の軌道、衝突のリスク、そしてそれを避けるための最適な手段。それを判断するのは、機械ではなく、私の直感でした。地球のオペレーターたちとの通信が交錯する中、私は一瞬だけ窓の外を見ました。そこには、どこか不安げに光る星々がありました。 「これを動かせば…軌道が変わるはず！」私は自分の考えたプランをリーダーに伝えました。彼は少しだけ躊躇しましたが、すぐに「信じよう」と頷きました。操作が始まり、全員が息を飲むような緊張感の中、私はただ祈りました。そして、数秒後、小惑星群はステーションから逸れるように動き始めました。 安堵の声が響く中、私はふと窓の外を見つめました。地球が、さっきよりも少しだけ輝いている気がしました。でも、その時、不意に一つの声が聞こえたのです。「リリィ…次の旅はお前自身の心を探す旅だ。」誰の声かもわからないその言葉に、私はハッとしました。 これが何を意味しているのかはまだわかりません。でも、今確信しているのは、私はただの観察者ではないということ。そして、この無限の宇宙には、まだ見ぬ可能性が溢れているということです。だから、次は私がその「未知」に挑む番。ステーションに戻った仲間たちが笑顔で迎える中、私はそっと胸の宝石を握りしめました。 星々は再び私を見つめています。未来が何を示すのか、その答えを探すのはきっと、私自身。