バレンタインに降る桜色の雪 - When Valentine Blooms Pink
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AIツール: StableDiffusion
モデル:bluePencilXL_v700
私の名前はリナ。17歳の高校2年生です。自分のことを特別だと思ったことは一度もありません。むしろ、教室の隅で本を読むことが好きな、どこにでもいる女の子です。
でも、不思議なことに私には特別な力があるんです。感情が強くなると、周りの空気が変わり始めるんです。小学生の頃、初めてその力に気づいた時は怖くて仕方ありませんでした。
今から10年前。学校の帰り道、私は初めて自分の力を目にしました。いじめられていた友達を助けられなかった悔しさで泣いていると、突然周りの空気が淡いピンク色に染まり始めたんです。
それ以来、強い感情を抱くたびに同じことが起きました。嬉しい時は金色に、悲しい時は青く、怒りを感じると赤く。私の感情が空気を染めていくんです。
でも今、私が通う青潮高校では、誰にもその秘密を明かしていません。ここは東京郊外にある、未来志向の実験校です。透明なガラス張りの校舎が特徴的で、最新の技術を使った授業が行われています。
そんな学校生活で、私の心を締め付けるような出来事が起きています。それは、クラスの人気者であるケンへの想い。彼は誰に対しても優しく、明るい性格の持ち主です。
ケンは、私のような目立たない生徒にも自然に話しかけてくれます。でも、それは彼の優しさであって、特別な感情ではないはず。そう思い込んでいた矢先、驚くような出来事が起こったんです。
私の感情をコントロールしようと必死だった日々。でも、この想いを隠し続けることは、もう限界かもしれません。なぜなら今朝、教室に入った瞬間、天井から小さなピンクの光が降り始めたからです。
「これは...まさか」と思った時、ケンと目が合いました。彼は不思議そうな顔で空を見上げています。私の秘密が、もうすぐ誰かに気づかれてしまうかもしれない。
その日の朝は、いつもと少し違う空気が漂っていました。2月13日。明日はバレンタインデー。教室の女子たちは、誰に渡すかで盛り上がっています。
「リナちゃんは、誰かにあげるの?」と、親友の美咲が声をかけてきました。美咲は私の幼なじみで、唯一私の秘密を知っている相手です。小柄で活発な彼女は、いつも私を励ましてくれる大切な存在です。
「まだ...決めてないの」と答えながら、私はケンの席に目を向けました。彼は窓際で友達と談笑しています。夕陽に染まった彼の横顔は、まるで絵画のように美しく見えました。
その瞬間です。私の想いに呼応するように、教室の空気が再びピンク色に染まり始めました。慌てて感情を抑え込もうとしましたが、もう遅い。天井から小さな光の粒が、キラキラと舞い始めたのです。
「あれ?なんか光ってない?」「すごくきれい!」クラスメイトたちの声が聞こえてきます。私は焦って教室を飛び出しました。
廊下を走りながら、私は自分の不注意を責めました。でも、もう後戻りはできません。明日、私はケンにチョコを渡すことを決めていたのです。
その夜、私は母の形見のレシピ帳を開きました。5年前に事故で亡くなった母は、パティシエでした。「想いを込めて作れば、きっと誰かの心に届く」そう言って、私にお菓子作りを教えてくれました。
台所に立ち、私は母のレシピ通りにチョコレートを溶かし始めました。ハート型の型に流し込み、表面には小さな「ありがとう」の文字を描きます。それは、日々の何気ない優しさへの感謝の気持ちでした。
窓の外では、夜空に星が瞬いています。明日、私の想いは届くのでしょうか。そして、この不思議な力は、私の人生にどんな影響を与えるのでしょうか。
バレンタインデーの朝は、いつもより早く目が覚めました。昨夜作ったチョコを手に取ると、表面に描いた「ありがとう」の文字が、朝日に照らされてほんのり輝いています。
「今日は絶対に気持ちを伝えるんだ」そう自分に言い聞かせながら、私は学校へと向かいました。通学路では、同じように決意に満ちた表情の女子たちとすれ違います。
校門をくぐると、一番に目に入ったのは満開の冬桜でした。この木は、学校の創立以来、特別な存在として大切にされています。先輩から聞いた話では、この桜の下で告白すると必ず想いが叶うという噂があるそうです。
午前中の授業は、まるで夢の中にいるような感覚でした。数学の公式も、英語の単語も、頭に全く入ってきません。ケンは前の席。彼の背中を見つめながら、私の心臓は大きく鼓動を打ち続けていました。
(つづく)
全部を載せたいのですが、残念ながらこちらのキャプション欄には文字の制限があるため、もし続きが気になる方は私のブログもしくはnoteをご覧ください。気に入っていただけたらハートマークをタップお願いします!