目を開くと、そこは深い闇の中でした。 でも、闇といっても、ただの暗黒ではありません。どこか遠く、手の届かないところで星々が瞬いていて、それが私を包む光となっているのです。気がつくと、自分の髪が淡い青白い輝きを放ち、細く揺れていました。これが私自身の光だと悟った瞬間、奇妙な安堵感が胸に広がりました。 私は誰なのか。 ここはどこなのか。 その答えは、目の前に浮かぶひと筋の光が知っているように思えました。 やがて光は姿を変え、渦巻き、流れるように一つの形を作り出します。光の中から現れたのは長い腕を持つ影のような存在でした。それはどこか滑らかで、冷たい微笑みをたたえています。その声は、低く、心の奥深くに響くようでした。 「アウリア……お前は星の継承者だ」 その名は、私に馴染み深い響きを持っていました。けれど、思い出すことはできません。それでも、確かに私は「アウリア」でした。青い瞳の輝きに、目の前の影が映り込みます。 「継承者……それは何を意味するの？」 そう問いかけると、影はゆっくりと動き、宙に裂け目を描きました。そこには、廃墟となった街のような光景が広がっています。赤く燃える空と、冷たく灰色に沈む大地――それは私が知るべき世界、私が導くべき運命なのだと影は告げました。 「お前には選択肢がある。この星の光を取り戻すか、永遠の闇に沈めるかだ」 重い言葉に一瞬怯みます。しかし、その問いの意味を深く考えるよりも先に、私は感じました。この胸の奥に微かに灯る光が、まだ消えていないのだと。 「……答えは決まっているわ」 私は、自らの光を頼りに一歩を踏み出しました。髪が星屑のように輝き、白いリボンが優雅に揺れます。この旅は、世界を救うためだけではなく、私自身を見つける旅でもあるのだと気づいたのです。 廃墟に足を踏み入れると、荒れ果てた地に残るわずかな希望を感じ取ることができました。それは、小さな子どもが抱える光る石、風に揺れる一本の草、空にかすかに残る星々のきらめき――どれも、私を歓迎しているようでした。 そして、旅を続ける中で、私は彼と出会いました。彼の名はカイといいました。彼もまた、この廃墟に住むただ一人の生存者であり、失われた記憶を持つ者でした。 「君はこの世界を変えられるのか？」とカイが問いかけたとき、私は胸を張って答えました。「ええ、そのために私はここにいるわ」。 彼と共に行動を共にする中で、私たちの間には絆が芽生えました。互いに失った記憶を探しながらも、手を取り合い、心の闇を照らす存在となっていきました。 最後の戦いは、星々の輝く空の下で繰り広げられました。影の正体、それはかつて星を守護していた存在――しかし、その役割を失い、絶望の中で堕ちてしまった者でした。 「お前の光を見せろ」 影の挑発に応えるように、私は心の中の光を解き放ちました。それは青く、温かく、包み込むような輝き。光は闇を裂き、絶望を希望に変えました。 カイの手を握りながら、私は微笑みました。 「ここが私たちの新しい世界の始まりね」。 星空はかつてないほど明るく輝いていました。 そして私は思いました。 この光はただ私自身のものではない。失われた星々、出会った仲間たち、そして私を信じてくれた全ての存在が紡いだ光だと。 こうして、私は本当の意味での「アウリア」になったのです。