( 1 のつづき ) 私はステッキを掲げる。「美咲さん、私も分かるよ。自分の作品に自信が持てなくなる気持ち。でも、それは頑張りたいって思っているからじゃない？」 ステッキの先端のアメジストが輝き始める。「私ね、美咲さんの絵が大好き！特に、先月描いていた夕暮れの校舎の絵。あの温かい光の表現に、心が癒されたの」 美咲さんの目が少し輝きを取り戻す。「私の...絵？」 「うん！だからきっと、美咲さんの新しい絵も素敵なはず。自分の好きなように、心のままに描けばいいんだよ！」 「ジュエルブレイズ・ヒーリングライト！」私は技名を自然と叫んでいた。アメジストから放たれた紫色の光が、美咲さんを優しく包み込む。 「なんて...眩しい光...！」シャドウが後ずさる。 その時、私の胸元のブローチが新たな輝きを放った。「愛！その光を！」アメちゃんが叫ぶ。 「ジュエルブレイズ・アメジストアロー！」光の矢がシャドウを貫く。シャドウは紫色の光に包まれ、次第に透明になっていく。 「ありがとう...」美咲さんが立ち上がる。「何だか心が軽くなったわ。そうよね、自分の好きな絵を描けばいいんだ」 黒い霧は消え、代わりに小さな結晶が床に落ちる。「浄化されたシャドウの欠片ね」アメちゃんが説明してくれた。 私は元の姿に戻り、美咲さんの傍に座る。「明日から一緒に放課後創作活動する？私、アクセサリー作りしてるの。お互いのことを励まし合えたら嬉しいな」 「うん！それ、素敵ね！」美咲さんの笑顔が戻ってきた。 夕暮れの美術室で、私たちは新しい約束を交わした。これが、私のジュエルブレイズとしての最初の戦いであり、新しい友情の始まりだった。 ✨ 「愛、素晴らしかったわ！」アメちゃんが嬉しそうに舞い踊る。「これからもっと強大なシャドウが現れるかもしれない。でも、あなたなら乗り越えられる」 その言葉に、私は小さく頷いた。まだ不安はあるけれど、今日の経験で少しだけ自信が持てた気がする。 それから一週間が経った頃、私の元に二つ目のジュエルがやってきた。 「私はルビーのジュエル、ルビィよ」情熱的な赤いドレスを纏った妖精が自己紹介する。「あなたの作ったルビーのリングから生まれたの」 アメちゃんと違って、ルビィは活発で積極的な性格。「愛、もっと自分を前面に出していいのよ！」といつも私の背中を押してくれる。 その日の放課後、図書室で一人の男子生徒が悩んでいるのを見つけた。バレエダンサーを目指す草薙君。男子がバレエを習っていることを馬鹿にされ、心を閉ざしかけていた。 現れたシャドウは、草薙君の不安を餌に巨大化していく。「女々しい男の子なんて、誰も認めてくれないわ！」 「違うわ！」私は叫んだ。「夢に性別なんて関係ない。大切なのは、その情熱よ！」 その瞬間、ルビーの力が新たな変身を引き起こす。真紅のドレスに身を包んだ私は、情熱の炎をまとった姿へと変わっていた。 「ジュエルブレイズ・パッションフレイム！」赤い炎が、シャドウを包み込む。 「ありがとう」草薙君は立ち上がった。「僕、諦めないよ。バレエを続ける！」 「素敵な決意ね」図書室に残って話す私たち。草薙君は意外にも、アクセサリーに興味を持ってくれた。「男子がアクセサリーを作るのも、全然アリだと思う」 その会話の中で、私は気付いた。宝石が教えてくれたこと。それは、誰もが自分らしく輝く権利を持っているということ。 アメちゃんとルビィは、互いに微笑みを交わす。「愛は確実に強くなっているわ」 でも、それは新たな試練の始まりでもあった。より強大なシャドウの気配が、街の上空に漂い始めていたから。 「愛、次はもっと大変になるわ」アメちゃんが真剣な表情で告げる。「でも私たち、一緒に戦えるわよね？」 「うん！」私は頷いた。今の私には、仲間がいる。そして、少しずつだけど、自分を信じる力も芽生え始めていた。 ( 3 につづく )