幻想のバスルーム "The Secret Wonders Behind the Steam"
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AIツール: StableDiffusion
モデル:reproductionSDXL_2v12
年齢制限:制限なし
投稿日:2024年12月23日
夜の風が、微かに冷たさを帯び始めた秋の放課後。金色に染まる街路樹の下を歩く私は、長く伸びた影に目を落とす。歩幅を合わせるように、影は黙ってついてくる。
誰かと話すこともなく、帰り道を急ぐ足音が響く。制服のスカートが揺れるたびに、タイツの布地が少しずつ肌に触れる感触が心地良い。学校ではいつも独りだった。友達を作れないわけじゃない。けれど、誰といても、自分だけが違う世界にいるような気がしてしまう。
家に着くと、いつもの静けさが私を迎える。鍵を開ける音さえ、やけに大きく響いた。両親は遅くまで仕事だ。リビングには片付けられた食卓と、無造作に置かれた新聞だけがある。この家で一番好きな場所は、浴室だった。
鞄を床に置き、制服を脱ぎ捨てる。シャワーの音が、心のざわめきを洗い流してくれるように感じる。そして、湯船に浸かる瞬間、ほんの少しだけ現実から解放される気がする。熱い湯が肌を包み込み、全てを忘れさせてくれる。湯気に覆われた空間で目を閉じると、世界は透明になる。それが、私の癒しだった。
それでも最近は、そんな時間にも物足りなさを感じていた。
土曜の夕方、久しぶりに商店街を歩くことにした。夕日がレンガ道を照らし、温かい色の街並みを作り出している。足元に転がる落ち葉を避けるようにしながら歩いていると、見慣れない小さな雑貨屋が目に留まった。
扉に掛けられたベルが、チリンと音を立てる。中に入ると、狭い店内には所狭しと商品が並んでいた。木製の棚には、色とりどりの雑貨が並び、そのどれもがどこか不思議な魅力を放っていた。
目を引いたのは、手のひらに収まるくらいの大きさのバスボムだった。丸いフォルムに鮮やかな青と緑が混ざり合い、まるで小さな地球のようだった。そっと手に取ると、ほんのり柑橘系の香りが鼻をくすぐる。その瞬間、胸の中に不思議な感覚が広がった。
「いい目をしているわね」
声の方を振り向くと、カウンターの向こうに立つ中年の女性が微笑んでいた。柔らかな雰囲気を纏い、目元にはどこか懐かしさを感じる優しさがあった。「それは特別なバスボムよ。ただのお風呂グッズじゃないの。大切に使うといいわ」と、彼女は小さく頷きながら言った。
その言葉に引き寄せられるように、私はバスボムを買った。家に帰る途中、透明な包装の中で輝くその青と緑が妙に心を弾ませた。
その夜、浴室の湯船にバスボムをそっと沈めた。瞬間、泡が弾け、鮮やかな色彩が湯の中に広がる。青と緑が水面に溶け込む様子は、まるで空から見た海と大地の境界のようだった。
そして次の瞬間、浴室全体が光に包まれた。
一瞬息を呑む。目の前に広がるのは、見慣れた浴室ではなかった。天井はどこまでも続く青空に変わり、足元の湯船は透明な湖面のようだった。周りには揺れる木々と小さな鳥のさえずりが響き、肌に当たる湯気はそよ風のように心地よい。
現実とは思えない光景に、ただ呆然と立ち尽くしていた。
すると、背後から微かな気配を感じた。振り返っても誰もいない。しかし、確かに何かがそこにいるような気がした。それは言葉にならない存在感で、心の奥深くに直接触れてくるようだった。
私は何も言えなかった。ただ、その気配に包まれると、不思議と胸の中に温かさが広がった。それはどこか懐かしく、そして切ない感覚だった。
気がつくと、浴室はいつもの姿に戻っていた。湯船の水は普通の透明で、何事もなかったかのように湯気が立ち上っている。しかし、確かにあの光景は存在した。
心臓の鼓動が高鳴っていた。あれは何だったのだろう。
夜が更ける中、私はベッドの中で目を閉じた。あの奇妙な感覚と、美しい光景が何度も頭の中を巡った。そして、またあのバスボムを使いたいという衝動が胸を締め付ける。
それが、私の日常の小さな奇跡の始まりだった。
私は結(ゆい)、高校2年生。地味で目立たない生徒として、毎日を淡々と過ごしている。友達と談笑するのが苦手で、昼休みは教室の隅で本を読むことが多い。家でも両親は忙しく、私に構う暇なんてない。そんな私にとって唯一の楽しみは、湯船に浸かる夜のひとときだった。あのバスボムに出会うまでは。
(つづく)
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全部を載せたいのですが、残念ながらこちらのキャプション欄には文字の制限があるため、もし続きが気になる方は私のブログ「MochiMermaid’s AI Art Adventures」をご覧ください。気に入っていただけたらハートマークをタップお願いします!