「こんにちは。私は、空と風を追いかけるレイラ。最近、コスモスが咲き乱れるこの街を歩くのが日課になってるの。」 そう言って微笑む私は、青空を背景にコスモスの花々に囲まれている。秋風が私の髪をふわりと揺らすたび、柔らかく丸みのあるショートヘアが顔に触れる。髪の毛は、深い黒と光の具合で濃淡が変わり、まるで夜空と星のようだ。耳元には小さな花の形をしたピアスが揺れ、胸元には青と黄色、赤の鮮やかな花柄が彩られた服をまとっている。落ち着いたトーンながらも、華やかな印象を与えるその服装は、私がこの街と花々を愛している証みたいなもの。 「そう、コスモスって不思議な花だと思わない？秋に咲くのに、こんなに鮮やかで元気。花言葉は、”調和”とか”謙虚”なんだけど、その割には自己主張が強いよね。まあ、私もそういうところ、少しあるかも。」 私は、街中を歩きながら目に入るコスモスたちに目をやる。街角のカフェの窓辺や、道端の植木鉢に至るまで、至るところに咲き誇っている。薄紅色、真っ白、時折、深い紅。まるで、それぞれの花が小さな宇宙を抱えているみたいだ。 「この街は、私にとって第二の家みたいなもの。いつも新しい発見があって、どこを歩いても見飽きない。でも、やっぱり一番のお気に入りは、この季節に咲くコスモスたち。彼らは、自由に風に揺られて、誰にでも優しく微笑んでくれるの。」 それはまるで、コスモスが私に語りかけているようだった。どこか人間のようで、でも遠い存在。調和を求めるけれど、同時にその場にいることを堂々と示す。私は、いつも彼らに励まされている。特に、心が静まる瞬間、コスモスたちの存在を感じるのだ。 「昨日ね、面白い夢を見たの。私がコスモスの中に迷い込んで、どんどん深く歩いていくんだけど、全然出られないの。そのうちに、花言葉が私に囁いてきて、”調和を見つけるには自分を見つけなきゃいけない”って。なんだか哲学的だけど、ちょっとウケるよね。」 夢の中の光景は今も鮮明に覚えている。花畑の中で私が一人佇み、風が運んでくる言葉に耳を澄ませる。コスモスの花びらが、まるで生きているかのようにひらひらと舞い、まばゆい光がその先に広がっていた。調和とは、何かを受け入れることで成り立つものだと、そのとき感じた。 「調和って、人と人の間にもあるけど、自分の中にも必要なものなんだろうね。自分と対話することで、初めて他の人とちゃんと向き合えるんだろうな、って。コスモスたちは、そのことを教えてくれている気がする。」 そう思いながら、私は街の広場にたどり着いた。ここには、無数のコスモスが植えられている。誰もが気軽に座れるベンチに腰を下ろし、私は静かに風を感じた。太陽の光が柔らかく降り注ぎ、コスモスたちが輝きを放っている。私は微笑みながら、その美しさを目に焼き付けた。 「でもね、結局は、自分を見つけるってそんなに大げさなことじゃないのかも。コスモスみたいに、ただここにいて、風に身を委ねて、時には他の人と一緒に揺れるだけで十分なんじゃないかな。」 私の視線は遠くのコスモスへと向かう。風に揺られ、彼らは自由に踊っているようだった。何も言わずとも、彼らの存在そのものが、私に優しく囁きかけているのだ。 「さて、今日はどこまで歩こうかな。まだ知らない場所が、きっとどこかにあるはず。いつかまた、新しい風に乗って、私もその場所へたどり着くんだろう。」 私は立ち上がり、風と共に歩き出した。花々が私を見送りながら、再び静かに微笑んでいた。