[ (1) の続き ] 🍯 “糖の洞窟” 🍬 ここは……歯の王国でも、特に甘美で危険な場所。食べかすや糖が溜まりやすい領域で、虫歯菌たちの楽園とも言われる一方、食べ尽くしてしまえば崩壊する、儚い地でもある。 「カヴィーナ！」 必死に辺りを見回した。彼女はどこだ？ その時、奥の方から小さな声が聞こえた。 「……んっ……」 「カヴィーナ！？」 僕は転がるようにして駆け寄った。そして見た。 彼女は、洞窟の端の黒い裂け目に、細い体をもたれかけさせていた。 「カヴィーナ！！しっかりしろ！！」 彼女は微かに笑った。 「ふふ……キャビティ、あなた……ちゃんと来てくれたのね……」 「当然だろ！手を離して悪かった……！ケガは……！？」 彼女はゆっくり首を振る。 「問題ないわ。でも、ここ……もうすぐ……崩れる……」 💥 メキ……メキ…… 💥 洞窟全体が軋む音を立てた。僕たちは最悪の場所に流れ着いてしまったらしい。 「逃げなきゃ……！」 でも、どこへ！？ その時、カヴィーナが僕の手を強く握った。 「大丈夫、道はあるわ……」 彼女は暗闇の奥を見つめた。そこには、光が差し込む一本の亀裂があった。 「信じて。私を」 僕は息を呑んだ。 この手を取れば、僕の運命はもう戻れない。 でも── 「……分かった。行こう！」 僕たちは、崩れゆく洞窟の奥へと駆け出した。 🔥 甘い地獄からの脱出が、今始まる……！ 🔥 ＊ 「崩壊と再生の狭間で🍬⚡」 僕たちは走った。 💥メキメキメキ……！！ 天井が崩れ、粘つく糖の鍾乳石が降り注ぐ。甘美な地獄──「糖の洞窟」は、その寿命を終えようとしていた。 「こっちよ！」 カヴィーナが先導する。僕は彼女の手を握り、闇の裂け目へ突き進む。 🌪️ズルッ……！！ 突然、足元が滑った！僕はバランスを崩し、カヴィーナを巻き込みながら倒れ込む。 「きゃっ……！」 僕たちは糖の川を転がり、止まったのは…… 「🌸ミュータンスの庭🌸」 そこは、かつてミュータンス族が築いた楽園だった。薄暗い空間に、小さな菌たちが漂い、発酵の甘い香りが満ちている。 「生きてる……？」 僕が息を整えると、カヴィーナがクスクス笑った。 「ええ。でも、どうやら歓迎されてるみたいよ？」 👀 ゾロゾロ…… 影が揺れた。次の瞬間、周囲から無数の目が僕たちを見つめた。 「……侵入者か？」 低く響く声。ミュータンス族の長老だ。 🦠 ミュータンス・セプテム 🦠 古き時代から存在する、強力な虫歯菌の一派。甘いものを愛し、歯の王国を陰で支配していると噂される。 「俺たちは敵じゃない！」 僕は叫んだ。でも、長老はじっと僕を見つめたまま、何も言わない。 その沈黙を破ったのは、カヴィーナだった。 「この人を通して。彼は“選ばれし者”よ」 🍷 シン…… 🍷 空気が張り詰める。やがて、長老が唇をゆがめ、笑った。 「選ばれし者……ならば、試練を受けてもらおう」 ⚡ ゴゴゴ…… ⚡ 地面が震えた。 僕たちは、また新たな運命の渦に巻き込まれようとしていた……！ 🔥 「運命の試練」が、今、始まる……！ 🔥 ＊ 「運命の試練、そして覚醒🔥⚡」 僕たちは、ミュータンス族の長老・セプテムの前に立っていた。 「🦠 試練を受けてもらおう🦠」 その言葉とともに、周囲の菌たちがザワザワとざわめく。 「試練？」 「そうだ。我らの聖地、象牙の塔へ到達し、“運命の決断”を下せ」 🦷 象牙の塔 🦷──それは、歯の王国の中心にそびえる神秘の場所。 僕たちがここまで辿り着いたのも、偶然じゃなかったのか……？ 「もし試練を乗り越えられなければ？」 僕が尋ねると、セプテムは笑った。 「その時は……甘く、とろける運命が待っているだろうな」 🍯 ドロォォ…… 🍯 足元から糖の溶液が溢れ始める。ここはもう、遊び場じゃない。 「キャビティ……行きましょう」 カヴィーナが僕を見つめた。その目は、ただの虫歯菌のそれじゃない。彼女もまた、何かを知っている……！ 「分かった」 ⚡ 「運命の試練」開始！ ⚡ [ (3) に続く ]