不器用なチョコと恋の味 - Love, Laughter, and Chocolate Disast
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バレンタインの朝、私はキッチンの片隅に立ち尽くしていた。周りには散乱したチョコレートのかけら、床に転がる卵の殻、そして、使いすぎたバターの滑りそうなラップ。ああ、今年もやらかしたかもしれない…。だけど、この混沌とした状況にもかかわらず、私は負けない。なぜなら今年こそ、田中さんに手作りチョコを渡すんだ!
私の名前は優子、30歳手前のフリーランスライター。普段は真面目に仕事をしている(つもり)。けれども、この時期になると毎年なぜかバレンタイン熱が発生し、キッチンが戦場と化す。原因はSNSだ。今年も可愛い「簡単チョコレシピ」の動画がタイムラインに溢れていた。「簡単」「失敗なし」「彼もびっくり!」なんて文句に心を掴まれない女性なんているのだろうか?
…え、いる?いやいや、そんな人は例外よ。とりあえず動画を保存して、スーパーへ直行。材料はすべて揃えた。高カカオチョコ、生クリーム、ナッツのトッピング。ついでに、「失敗したときの保険用」に市販のチョコも購入(お約束ね)。
だけど、やっぱり「簡単」の罠ってあるんだよね。湯煎中のチョコをかき混ぜてる最中にスマホを手に取った私が悪かったのかもしれない。「次の工程は…?」と画面を確認しようとした瞬間、手が滑ってスマホがポトリ。そして、溶けかけのチョコの海にダイブする音が響く。
「嘘でしょ!?」
慌てて引き上げたスマホは、バキバキの画面に加え、チョコレートコーティング済みという絶望的な状況に。これでレシピ動画は見れない。心の中で「ちょっと泣いてもいいかな?」という自分と戦いつつ、私は意地で記憶を頼りに工程を進めることにした。
だけど、記憶なんて曖昧なものだ。「砂糖と塩、どっちを大さじ2杯だっけ?」とか、「生クリームの量ってこんなもんでいいのかな?」なんて疑問が次々と湧いてくる。結果、混ぜたチョコレートは妙にしょっぱく、やたら液体っぽい謎の状態に。なんとか型に流し込んで冷やしたものの、出来上がったものはどう見ても「アート系スイーツ」だった。
田中さんに渡すには、かなり勇気がいる。いや、むしろ渡さない選択肢を考えたほうがいいのでは?でも…この気持ちを伝えないままでいるなんて、それこそ後悔する。何も完璧でなくてもいいじゃないか、そう自分を励ましつつ、私はチョコを手に取った。
「これが恋のスパイスってやつなのかもね」
そんな風に、自分に言い聞かせながら、次の展開を思い描く私だった。
(つづく)
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