さわやかな秋風が頬をなでる中、私は果樹園に立っていました。周りには赤や黄色に輝くリンゴがたわわに実っています。今年は豊作で、枝もたわむほどです。 手に持った籠を地面に置き、慎重にリンゴに手を伸ばします。指先が果実に触れた瞬間、なんとも言えない喜びが胸に広がりました。一つ一つ丁寧に摘み取っていくと、甘い香りが鼻をくすぐります。 「こんなに美味しそうなリンゴ、久しぶりね」 つぶやきながら、艶やかな表面を撫でます。太陽の光を浴びて育ったリンゴは、まるで宝石のように輝いています。 籠いっぱいになったリンゴを眺めていると、不思議と心が落ち着きます。自然の恵みに感謝しながら、次の木へと向かいます。 収穫を終えて帰り道、夕焼け空を見上げました。オレンジ色に染まった空は、まるでリンゴの色のよう。明日は誰かにリンゴをおすそ分けしようかな、そんなことを考えながら歩を進めます。 きっと、このリンゴを食べた人も幸せな気持ちになるはず。そう思うと、自然と顔がほころびます。 果樹園を後にしながら、来年の収穫への期待が膨らみます。季節は巡り、また新たな実りの時を迎えるのでしょう。そんな自然の営みに寄り添えることが、何よりの幸せだと感じました。