私はレナ。透明な空の下、ガラスのような世界に閉じ込められている、17歳の少女。私の周りには、柔らかな緑が広がり、無数の葉が私を守るように揺れている。このエコスフィアは、私の全てだ。それ以外の世界を知らない私は、ここが宇宙の全てだと思っていた。けれど、時々、胸の奥に何かが囁く。「ここは本当に、全てなの？」と。 朝の光が私の髪を包み込む。私の髪飾りには、小さな葉と花が飾られている。それは科学者たちが「共生の象徴」と呼ぶものだ。けれど、私にとってはただの飾り。私の存在を特別視する彼らの目には、暖かさが欠けている。それが小さい頃から不思議だった。なぜ、彼らは私に笑いかけないのだろう。 ガラスのような壁越しに見る空は、どこまでも青い。けれどその青さは、どこか偽りめいている。透明なドームが、私たちを外の世界から隔てている。その向こうには何があるのだろう。時々、夢の中で見た「青い光に包まれた森」のことを思い出す。そこでは風が自由に歌い、光が踊り、私の知らない生命が息づいている。 今日は少しだけ、空気が違う気がした。湿り気を帯びた空気の中に、どこか錆びたような匂いが混じっている。私は育てている植物の方へ足を運んだ。細い指先で葉を撫でると、かすかに冷たい感触が伝わる。しかし、葉の縁が茶色く変色しているのに気づいた瞬間、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。 「どうして？」私は震える声で問いかけた。もちろん、答えは返ってこない。植物が枯れるなんて、ここではありえないことだった。この球体の中では、すべてが計算され、管理されているはずだったのに。 科学者たちがやってきて、植物を無表情に調べ始めた。私は彼らの間に立ち尽くし、どうすればいいのか分からなかった。彼らの言葉は専門用語ばかりで、私にはほとんど意味をなさなかった。ただ一つ分かったのは、これが「異常事態」だということ。 「夢で見た森のことを話そう」と思った。でも、躊躇してしまう。彼らは私の言葉を信じてくれるだろうか。何度もそう考えているうちに、話すタイミングを失った。科学者たちは立ち去り、私はひとり、枯れゆく植物の前に座り込んだ。 この球体は、美しい牢獄だ。すべてが管理され、整えられたこの場所で、私の心は自由ではない。ガラスの壁越しに外を眺めるたび、見えない鎖が私を引き止めているように感じる。外の世界は危険だと教えられたけれど、それでも、あの青い光の森が私を呼んでいる気がする。 手にした小さな葉を見つめながら、私はそっと祈る。「この世界に本当の自由と再生が訪れるように」と。けれど、私には何ができるのだろう。ただの少女でしかない私に。 夜、ベッドに横たわりながら、再び夢を見る。青い光が差し込む森の中を歩く私。空気が透き通り、風が髪を撫でる感触までが現実のように鮮明だ。目を覚ました瞬間、その感覚がすべて消えてしまうのが悲しい。 明日の朝、植物の状態が良くなっていることを願いながら、私は目を閉じる。けれど、どこかで知っている。この異変は、始まりに過ぎないということを。 それでも、希望を抱きたい。閉ざされたこの球体の中でも、私の心だけは、自由でありたいと。 （つづく） ―――――― 全部を載せたいのですが、残念ながらこちらのキャプション欄には文字の制限があるため、もし続きが気になる方は私のブログ「MochiMermaid’s AI Art Adventures」をご覧ください。気に入っていただけたらハートマークをタップお願いします！